はしっこで独り言

日常の掃溜め。主な内容は演劇部とラビアレとMETEOS。——本家「Empty SORA」の方から来た方はブラウザで戻るか横のリンクからもう一度入ってください












 で、今日も何かSB先輩のうちでおしゃべり大会をやるらしいです。




 光にまぎれた闇の詩 008




 結局その日、ラビはアレンを見かける事はなかった。イランによれば、帰ってきてはいるそうだったが、何故なのか食事の時間には現れず、いつまで立っても食堂には降りてこなかった。
 どうしたんだろう。ラビはベットの上で天井を見つめながらアレンのことを考えた。昨日の食事の量を考えれば、今晩アレンが食事をしに降りてこなかったのはとてもおかしい。今頃腹でも空かせてうんうんうなっているんじゃないだろうか。それとも、昨日のあの暴飲暴食は、今日食べないための食いダメだったんだろうか? いや、だとしてもそれをする必要性が感じられない。だいたい、今日はいったいアレンは何をしに出掛けたんだろうか? そりゃあ観光に決まってる。彼は今は亡き父親の旅の跡を辿っているのだ。それ以外に何があるという?
 けれど、ラビの頭の中にはトマの報告の内容が頭の中に張り付いていた。どうしても気になってしまう。白い人陰。今のラビにとって、「白」という色はアレンしか連想する事が出来ない。アレンはアクマなのか? 彼がこの町のちんぴらを殺しているというのか? あんなに優しそうに見えた彼が、アクマだという事が、ラビには信じられなかった。いや、信じられない事はない。今までだって何度も何度もそういう例は見てきた。信じられないんじゃない。信じたくないだけ——


「って……え?」


 今、俺何考えてた?
 ラビはハッとすると、さっきまで頭の中に巡っていた事を思い返し、顔を青くした。
 「信じたくない」? そんな、ありえない。俺は今までそんな事思った事は一度もなかった。何で、何で「信じたくない」なんて……。冷や汗が額に浮かぶ。今まで感じた事のなかった感情が今さっき一瞬「心」という器から溢れた。感情を制御し切れなかった。アレンのことを考える旅に溢れてくる感情を押さえる事が出来ない。
 慌ててベットから起きる。額に手を当てて、いつの間にか荒くなってしまっていた息を整えながら、ラビは少し震えている自分の手を見つめた。得体のしれない、「感情」に対しての「恐怖」が全身を襲う。
 頭の中は殆どパニックに近い状態で、ラビは初めての「感情」に完全に戸惑っていた。体は恐怖でとても冷たくなっているというのに、何故か胸のあたりだけが暑い。混乱した頭の中にはブックマンの言葉とアレンの顔がグルグルと混ざりあっていく。いったい何が俺の中で起こっている? 俺にいったい何が起こったんだ。俺は……俺は——







 あの人——
 アレンは宿の部屋でぼおっとしながら、昨日、初めてであったエクソシストのことを考えていた。自分の目指しているエクソシストがすぐ目の前にあらわれたのだ。これほどの絶交のチャンスは他にはない。
 あの人、僕がイノセンスを持っている事に気がついてくれるだろうか。
 今まで誰の目の前でも外していなかった左の手袋を外す。真っ赤な左手に宿った十字架が、電球の光を受けて怪しく光る。今まで、自分の居場所がちゃんと分かっていなかった頃は、この腕がとても恨めしかった。この腕のせいで(もちろん、マナの呪も原因にはなっていたけれど)他のノアに蔑まれ、伯爵からも目をつけられていたのだ。ところが、こうやってノアを飛び出し、エクソシストとしての自分を見つける事ができた今は、この腕が少しだけ愛しく思えるようになった。
 あの人が、ラビがイノセンスに気がつかなかったらどうしよう。
 普段はずっと手袋をし手いるから、気がつかれる事はまずない。ということは、彼の目の前でわざと手袋を外さなくてはいけないという事になる。でも、それでは自分が最初からこの腕がイノセンスだと気がついていたとラビに気がつかれてしまう。できればアレンは、何もかもゼロからはじめたかった。イノセンスのこともちゃんと学びたかった。できるだけ、イノセンスの全て最初っからを知りたかった。そのためには、自分が最初からイノセンスのことを知っていると思われていては困るのだ。
 アレンはイノセンスを指でなぞりながら、自分がエクソシストとなってアクマを破壊しているところを想像した。爪がアクマの部品を壊す感触。これまでは他のノアに見つからないようにこっそりとやってきた事を、堂々とする事ができる。伯爵が、エクソシストとなったアレンを見た時どう思うか、何と言うか、想像すると止まらない。思わずクスクスと笑っていると、とんとんと扉を誰かがノックした。


「どなたでしょう」


 手袋を付け直して、扉をあける。ところが、扉の向こうにはだれもいなくて、アレンは首をかしげた。あれ? 気のせいだったのかな。そう思い、扉を閉めようとすると、誰かがアレンのズボンをくいくいと引っ張るのを感じ、アレンはそこでようやく視線を下に下げた。
 アレンの足元にはリトがいた。目は少し潤んでいて、唇が震えている。


「どうしたんですか? 恐い夢でもみましたか?」


 何があったのか心配になって、アレンは目線をリトと同じ高さにあわせて、頭を撫でる。するとリトはガシリとアレンにしがみつくと、突然泣きじゃくり始めた。アレンは突然のことに驚くと、どうしたらいいのか分からなくなって、ただリトの頭を撫で続けるしかなかった。







 「なあ……」
「はい?」
「これ……」
「はい」
「何か……」
「どうしました」
「微妙なんだけど……」


 茶色のぼさぼさの鬘に黒ぶちの少し濁った分厚い(けどダテの)眼鏡。服はボテッとしていて、パッとみかなり地味でダサイ男に扮したラビは、隣のさらさらの黒髪にサイズぴったりの服をきたトマを少し恨めしそうに見た。


「仕方がありませんよ。だってラビ殿にあう服のサイズがなかったんですから」
「だからってこの鬘と眼鏡は……」


 何だか癪に触る。でも、これくらいしないとラビの容姿はどうしても目だってしまい、赤毛なんていないこの町ではどうしても他所者とすぐにばれてしまう。そして、今使える残っている鬘がこのぼさぼさの茶パツだけだった。
 ラビは少し不服そうにその頭を撫でながら、イランたちに見送られ、リトとイスラとともに宿を出た。
 朝、久々に出会ったリトは何故か目の周りを真っ赤にさせ、泣いた後があった。イスラはそれに気がつくと、どうしたのか問いつめようとしたが、リトが言葉を離せない事をすぐ思い出し、押し黙った。けれどリトはその事を除けばいつも通り元気で、ラビたちの先頭をまたも走りながら案内すると、あっという間に狭い路地を抜けて、この町についた時に最初に立ち寄った駅前についた。
 顔見知りなのか、駅前の者たちはリトやイスラとすれ違うと「やあ」やら「久しぶり」とにこやかに挨拶をして、ラビやトマにも笑顔で会釈してくれた。イランの話を思い返し、駅前に住んでいるものの殆どがイランの考えに賛同するものだと言う事を思い出しながら、ラビは早速聞き込みを開始した。
 

「チンピラのことを聞きたいのか? それならいくらでも。相つらはいつもこの辺をうろうろしてて、町の者全員に迷惑かけてたからな。俺の店にもしょっちゅう出入りしてたが、正直言うとあまり来て欲しくなかったね」


 最初にラビたちは、腹ごしらえもかねて(イスラが不機嫌そうな顔で空腹を訴えたのだ)一番近く喫茶店のマスターに、まず襲われたものたちのことを聞く事にした。マスターは快くラビたちの質問に答えてくれた。


「何かあればすぐ因縁を付けてくるし、町の中に何も因縁をつけるものがなかった時にゃ、そこら辺の物を壊して歩いてたよ。この辺の人間にはかなり嫌われてたね。チンピラの殆どは町の中心に住んでるやつらの子供だと言う事も忘れてくれるなよ。駅前の人間はそんな酷い事はしない」


 マスターの作ったサンドウィッチを食べながら、ラビはマスターの表情を観察した。明らかに、チンピラ達のことを話す時に嫌悪の表情があらわれている。それほど嫌われるような事をチンピラ達はこの店でしたのだろうか。
 腹も満たし、聞ける情報はすべて聞き終わると、ラビたちは今度は、「白い影」を目撃したと言う女性のところに行ってみる事にした。マスターに領収書を渡し、礼を言う。マスターはにっこり笑って彼等を見送ってくれた。
 目撃者の女性は、町一番のお菓子を売っている店の娘だった。何故かそこを訪問する時、イスラはガチガチに緊張し、リトは少しだけ嬉しそうだった。何故なら、町人の間では、町一番の菓子を売る、町一番の美人だと言われているらしく、皆の憧れで、イスラもその例に漏れず通りかかった人に、からかわれていた。


「あら、あの日の話が聞きたいの? 別にいいけど……できればあんまり思い出したくないのよねえ……。確かあの日は、いつになくお菓子が売れない日で、売れ残ったお菓子を食べながら店内の掃除をしてたわ。店を閉める時になって何だか外が騒がしいなって思ったの。気になってみに行ってみたら、見覚えのある服が、何故か砂が盛ってあるところに置き去りに去れててね、ふと、通りのずっと向こうのところを見たら、何か白い人陰が走り去っていくところだったの。変だなと思って、近付いてその服を見てみたら、ぺディーさんちのリックの服だったからもう吃驚! すぐに最近この辺で起きている殺人事件だと分かって、私恐くなっちゃって……。ええ、そうよ、リックはこのあたりでも特に有名……というか名のしれた不良だったわ。でも彼は本当は悪い人じゃなかったのよ。優しいところや礼儀正しいところもちゃんとあった——」



















 そろそろブログに乗せている小説を整理してHPにのっけようかなあなんて思っている今日この頃。あ、そういえばまだ小説の解説更新してない。念願の連載がやっと一つ更新で来っていうのに。










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2008.11.21 23:20  | # [ 編集 ]













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